要約:今いる場所で突き抜けろ! 強みに気づいて自由に働く4つのルール カル・ニューポート

要約:今いる場所で突き抜けろ! 強みに気づいて自由に働く4つのルール カル・ニューポート

こんにちは。皆さんは自身のキャリアに悩んだことはありますか?私は日々悩んでいますし、みなさんも少なからず悩んだことがあると思います。その中で、「好きなこと、やりたいことを追い求めよ」というキャリア・アドバイスを何度か受けたこともあるのではないか?と思います。

「好きなこと・やりたいことを仕事に」は理想ですが、この本では「好きなこと・やりたいことを仕事に」とは真っ向から反対する意見を主張しています。世の中のキャリア本とは一線を画す内容であり、かつ、地に足のついた内容となっています。

そこで、今日はこの「今いる場所で突き抜けろ! 強みに気づいて自由に働く4つのルール」という本のレビューをしていきたいと思います。

この本を読めば、
 「やりたいこと」を追いかけてはいけない理由
 「やりがいのある仕事」をしている人はどんなひとか?
 それらを踏まえた今後のキャリアの立て方

がわかります。

ご自身のキャリアに少しでも悩みがある方
今後、将来のキャリアについて考えようと思っている方
には、読んでいただきたい一冊です。

『今いる場所で突き抜けろ! 強みに気づいて自由に働く4つのルール』の概要

この本のはじまりですが
 ”好き”を仕事にするには、どうすればいいか?
という非常に根本的なメッセージから始まります。当時、著者は大学院の博士課程を卒業間近で、就職活動を行う中で、上記のような悩みを持ったようです。

本書では、著者自身の「理想の仕事探し」の追求のプロセスが克明に、かつ、著者が当時考えたこと・感じたこと(それらは、私たちも当然同じように考え・感じること)を含めて書かれており、わたしたちも親近感がわく内容となっています。

非常に興味がそそられる内容ですが、本書にはどのようなことが書かれているのでしょうか?

まず、本書では、
・仕事で成功を得るために「”好き”を仕事にしよう」という従来の教えは重大な誤り
・実際には、やむにやまれぬ事情から、就職している人が大半
・「”好き”を仕事に!」という教えは、この事実に関して何の説明にもなっていないどころか、さらに悪いことに、職を転々とする人や、夢が叶わずに絶えず不安にさいなまれる人を生み出している

といったことを出発点として、これまで優勢であった「”好き”を仕事にしよう!(”やりたいこと”待望論)」を論破しています(ルール1)。

そのうえで、「”好き”を仕事にしよう!」のかわりに、私たちはどうすればよいか?という著者の主張が、ルール2~4の3つルールとして述べられています。

以降では、それぞれの具体的な内容に関してご紹介します

ルール1:やりたいことなどみつからない

好きなこと、やりたいことは仕事にできるのか?

著者は世の中の「”好き”を仕事にしよう(”やりたいこと”待望論)」に対して、
 「やりたいこと」をおいかけてはいけない
という反対意見を主張しており、その根拠として、
 「できること」、つまり”能力の重要性”
を あげています。すなわち、自分が何かに秀でない限り、素晴らしい仕事など、成し得ないということです。訳者が面白いたとえをしていますが、「自動車メーカーの入試で、子供のころから、車に興味があったんです」というのは、「〇〇大学に子供のころから憧れていたんです」と面接でいうだけで、〇〇大学に入るのが不可能なのと同じと述べています。需要と供給で成り立っているビジネスの世界では当たり前のことですが、このたとえ方が秀逸だなと感じます。

そもそも、やりたいことは見つからない。なぜなら、「やりたいこと」は、スキルアップが生み出すから

また、著者は調査のすえ、
 結論1:「やりたいこと」など、めったにない
 結論2:「やりたいこと」に出会うには時間がかかる
 結論3:「やりたいこと」は、スキルアップが生み出す

という3つの結論にいきついており、これはまさに
ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0 」の「やる気の3つの源泉」
 1)自律性:自分の労働時間を自分でコントロールしている、自分の行動は重要であるという感覚
 2)有能性:仕事のスキルが上達しているという感覚
 3)関係性:他人とつながっているという感覚
に通じるものがあり、一見やりがいのなさそうなより経験を積んだ事務員のほうが、仕事を楽しんでいる理由と主張しています。

以上で「”好き”を仕事にしよう(”やりたいこと”待望論)」を著者は否定し、以降でどうすればいいのかを主張しています

ルール2:今いる場所で突き抜けよう

「Take」ではなく、「Give」に焦点をあてよう

著者は、「仕事が何かをあたえてくれるか」といったような、「世界があなたに与えることができるものに焦点をあてる」(「願望マインド」と呼ぶ)ような思考で物事を考えると、現状の自分の仕事の嫌なことのみ目につく。そうではなく、「あなたが世界に与えることができるものに焦点をあてる」(「職人マインド」と呼ぶ)に変わろう。経験を積んでいくことで自信がつき、モチベーションもアップし、結果として誰もが思わず注目してしまうような「突き抜けた人」になれると主張しています。

一例として、新入社員には、やりがいのあるプロジェクトや自由は与えられない。それらはもっと経験を積んでから与えられるという例をあげています。目を輝かせていた新入社員が数か月後には目が死んでいることがありますが、まさにこのGAPが原因なのかもしれません。

「素晴らしい仕事」を得るために「キャリア資本」を手に入れよう

「突き抜けた人」になることは理想ですし、みんななりたいと思うと思いますが、どうすればよいのでしょうか?著者は以下のように述べています。

  • 「希少で価値ある仕事の獲得」には「希少で価値あるスキルを提供しないといけない」。それすなわち、「突き抜ける」ということ。
  • この希少で価値のあるスキル(=「キャリア資本」)を蓄積できるような仕事を選ぶべき
  • 「キャリア資本」にならない3つの仕事には就くな
    1. 希少で価値のあるスキルを磨くことで、他人との差別化が図れる機会が、ほとんどない仕事
    2. 役立たない、もしくは世界に悪影響をもたらすとあなたが思う仕事
    3. ものすごく嫌いな人たちと一緒にせざるを得ないような仕事

非常に地に足のついた主張だとおもいます。

あなたの毎日に「意図的な練習」を組み込む

次に、このキャリア資本を獲得していくためには、「意図的な練習」が必要であり、獲得に向けて具体的なステップを述べられています。

「意図的な練習」の必要性

偉業の達成は生まれつきの才能ではなく、最適な場所とタイミングで、膨大な練習を積み重ねることによるという「10年ルール、もしくは1万時間の法則と呼ばれる法則」がある。

しかしながら、現実には同じ時間を費やしても、プロとアマが存在する。
それは
・いわれたとおりにやれば、一定期間で合格レベルに”達する”
・だが、いわれたとおりにやるだけでは、合格レベルに”とどまる”

からである。「ぼんやりと練習する」「せっせと働く」だけでは、すぐに壁にぶつかってしまうということであり、それを乗り越えるには「意図的な練習(deliberate practice)」という、
・個人の能力における特定の側面を効果的に向上させることを唯一の目的とする
・一般的には指導者によって計画された活動

が必要となる。

計画的なスキルアップのための5つのステップ

計画的なスキルアップのための5つのステップ
 1)自分の「戦う市場」を見極めよ
 2)自分の資本タイプを特定せよ
 3)明確な目標設定をせよ
 4)ダメ出しを受け、さらに伸ばす
   ・「意図的な練習」は「何よりも目標に対する集中」
   ・「意図的な練習」はたいてい、「楽しい」の反対
   ・新しい数学の公式や解放を学ぶ際、頭の中で起きている不愉快な感覚は
    「精神的緊張」とよばれるのがぴったり。
    ・習得しているテクニックを応用するときの、たのしい。この伸びが進歩の前提条件
 5)できるまで、やり続ける

著者によると、ミュージシャン、スポーツ選手、チェス・プレーヤーならだれもみな、この「意図的な練習」を知っている。一方、知的労働者は一般的な内容ではないため、この方法を私たちの仕事に組み込めば、キャリア資本の獲得という点で、あなたは同僚に先んじることができると主張している。
確かに、言われてみれば当たり前であり、意識をしてないところで実践している内容だが、これを意識的におこなうことは効果的だとおもう。

ルール3:「自分でコントロールできること」をやる

それでは、私たちはなんとかしてキャリア資本を獲得したら、次は私たちはどうしたらよいのでしょうか?著者は以下のように述べています。

キャリア資本を獲得した次のステップとして、仕事や仕事のやり方を自分でコントロールすることが大切である。この自由度が上がれば上がるほど、幸福度があがり、やる気が出て、充実感が増すことにつながる。一方で、キャリア資本をもとに自由を得ようとすることは、雇用主からの抵抗などが想定される(わたしたちの自由度アップは、雇用主の生産性悪化につながるため)。それに対しては、わたしたちのキャリア資本、仕事を「人が喜んでお金を払うようなものにする」ことで回避することができる。

ここまでくれば、需要と供給のバランスにおいて、私たちが強くなり、主導権を握れるということだとおもいます。

ルール4:小さく考え、大きく動け

ミッションとは仕事のエネルギーになるもの

そして、最後のルールとして「ミッション」について著者は述べています。

ミッションは仕事よりも広義で、「人生において何をすべきか」という問いの1つの答えになっている。
ミッションをもつことで
・仕事に目的意識とエネルギーが加わる
・私たちのエネルギーを有意義な目標に向かって集中させ、それによって世界に大きな影響を及ぼすことができる

といったようなメリットがある。

ミッションをみつけるには

このようにミッションは有用なものだが簡単にはみつからない。それに対して、著者はみつけるための方法を紹介しています。

●よいミッションとは

  • 良いミッションは科学的大発見ににている。
  • 自分の分野の隣接可能領域で、あなたに発見されるのをまっているイノベーションである

●よいミッションをみつけるには

  • 仕事のミッションを見つけたいなら、まずその分野の最先端に到達しなければならない。
  • 有望な特定分野のスキルを上達させて、それからミッションを探すという順序を踏めば良い
  • ある分野の最先端に到達することは、「小さく」考えるという行動であり、ある狭い範囲の主題に、ある程度長い期間集中することが必要である。しかし、いったん最先端に到達すると、次は隣接可能領域で「ミッション」を発見し、熱意をもってそれを追求する。これが「大きく」動くということである

「小さな賭け」でミッションを実現する

このように見つけたミッションを実現するために、以下のことをやるべきだと著者は述べています。

  • ミッションを成功させるために具体的なプロジェクトをはじめないといけない。
  • これを達成する効果的戦略は、小さなステップをためすこと。良い方向に向かう”小さな賭け”を続けて、たくさんの小さな失敗や、小さいが意味のある成功から大きな情報を得よう
  • ベクトルさえ合っていればよい。「行動」が「学び」を与えてくれる。

ミッションにはマーケティングが必要

  • 成功したから、キャリアそのものを好きになれた
  • あるプロジェクトでミッションを成功させるには、2つの方法で アピールしないといけない。まず、文字通り、人がそれを話題にしたいと思うほど 魅力的であること。第二は、そんな注目を集める場所でそのプロジェクトをはじめないと いけないということ。
  • アピールの法則を適用することで、ミッションを魅力的なアイデアから 魅力的なキャリアへ変える方法を見つけるチャンスが大幅に増える

まとめ

ということで、
今日は「今いる場所で突き抜けろ! 強みに気づいて自由に働く4つのルール」の読書レビューを行ってきました。

「好きなこと・やりたいことを仕事に」と、実力もないのに他力本願に願うのではなく、まずは貴重な価値ある能力を獲得しろ、突き抜けろ!というある意味手厳しい内容でしたが、実践のための具体的な方法まで書いてあり、参考になる本だと思います。是非みなさんも参考して、魅力的な仕事ができるようになればと思います。

書籍のリンクも貼っておきますので、詳細知りたい方は是非購入してみてください。