『お金の方程式』と『お金に働いてもらう』とは

『お金の方程式』と『お金に働いてもらう』とは

前回の記事では、金融庁レポートをもとに、今後待ち受けるであろうお金に関する困難とともに、お金から解放される必要性を対策方法に関してご紹介しました。このお金から解放され自由に生きるためには、まずお金というものを理解する必要があります。

この記事では、お金というものを理解するために必要な「お金の方程式」という簡単な数式をご紹介します。簡単な数式なので、誰にでも理解できますが、数式が意味する本質を理解することはとても重要なことです。ここでは、理解のためのいくつかの重要なポイントを具体的な数値例含めてご紹介します。

お金の方程式

私たちの『お金』は、以下のシンプルな数式で表現できます。
資産形成 = (収入 – 支出) + 資産 × 運用利回り

この数式はある単年度を表しているわけではありません。
右辺の残った資産が翌年の運用資産に加算され、利回り分の収益を生み出します。そして、それが更に資産に加算され・・・ と、どんどん続いていきます。

この数式から、このお金持ちになる方法は
①収入を増やす
②支出を減らす
③運用利回りを上げる
この3つしかないことがわかります。

これらのことはとても当たり前のことですが、ただ闇雲に3つの指標を改善するのでは効率的ではありません。お金の悩みから解放され、FIRE(経済的自立)を達成するためにはいくつかのポイントを理解する必要があります。

「お金から解放」されるために優先すべき事項とは

お金に働いてもらう、マネーマシンをつくる

「お金に働いてもらう」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。聞きなれない言葉かもしれえませんが、「お金に働いてもらう」とは、「お金がお金を生み出す」という意味です。「私たちが働かなくてもお金が働いてくれる」「お金がさらにお金をもたらしてくれる」、そのような状態を指します。

「複利」:アインシュタインも認めた「人類最大の発明」

「お金に”効率的・効果的”に働いてもらう」ための重要な法則として「複利」という概念があります。「利息」には大きく「単利」と「複利」の2つがあります。「単利」とは、元本に対してのみ利息がつくことであり、一方「複利」とは、元本+利息に対して利息がつくことを意味します。ポイントは時間が経過するにつれ、リターンが大きくなる点です。すなわち、利子を元本に組み入れ、大きくなった元本に対して利子を得ることで「お金に働いてもらう」「お金がお金を儲ける」仕組みになっていくのです。考え方は非常にシンプルですが、時間が経つにつれリターンは大きくなり、雪だるま式に増えていきます。これが、20世紀最大の物理学者とも言われるアインシュタインが「人類最大の発明」「宇宙で最も偉大な力」と呼んだ所以になります。

「投資は悪」⇒「政府のおすすめ商品」

この「複利」を上手く生かした「長期投資」が「資産形成」においては重要になります。旧来、日本人は『投資』と『投機』を混同し、『投資は悪』とみなしてコツコツ貯金を進めてきました。しかしながら、歴史的な低金利が続く中、貯蓄では資産形成が難しく、投資を用いた資産形成が必須となっています。これは、金融審査会がまとめたレポートにおいても、「長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、資産形成の行動を起こす」必要性がうたわれていますし、つみたて NISA や iDeCo 等が制度を国ともしても整備してきていることから、積極的に取り組むべきなのです。
このようにして資産形成を進め、”自らがお金を生み出す”マネーマシンを作り出すというのが、「お金から解放」されるために優先すべき事項となります。

72の法則

ここでは覚えておくと意外と便利な「72の法則」というのをご紹介します。資産運用で元本が2倍になる利回りと年数が簡易に求められる法則として「72の法則」があります。
 年利(%)×年数(年)= 72
上記の式において、年利に年利率(複利)を入れると元本が2倍になる年数に必要な年数が求められ、逆に年数に運用期間を入れると元本が2倍になるのに必要な年利を求めることができます。

収支を改善する。貯蓄率を高める

複利を生かした資産運用は「お金から解放される」ための優先事項でありますが、資産運用の効果を高めるにはまず運用資金をためる必要があることは明白です。運用利回りが10%の場合、運用資金が1万円ですと1千円の利息ですが、100万円だと10万円となり、運用資金が大きくなればなるほど「お金を働かせる効果」は出てくることになります。

FIRE達成のための「貯蓄率」と「利回り」の関係性

ここで、面白いデータがあるのでご紹介します。これはFIREを達成するための資産、すなわち年間支出の25倍の資産を作るのに必要な年数をいくつかの貯蓄率と利回りで資産したものになります。ここからは以下のようなことが読み取ることができます。

貯蓄率利回り1%利回り5%利回り10%
5%175年65年40年
10%118年51年33年
20%69年36年25年
40%32年21年16年
60%15年12年10年
80%6年5年5年
年間支出の25倍の資産を作るのに必要な年数
  • 利回りが1%の時、すなわち、リスクをとった運用をせず貯金などの安全資産のみを保有した場合、貯蓄率が10%以下では100年以上かかる
  • 利回りが5%、10%(かなり良い数字)であっても、貯蓄率が10%以下では30~50年と人生の大半を「お金のために働く」ことになります。

以上のことから、

  • “お金に働いてもらう”ためえには資産運用が必要
  • “お金を働かせるための効果”を高めるには、貯蓄率を高める必要がある。早期にFIREを目指すなら、40%や60%といった今まで私たちが考えていたものより高い貯蓄率が必要となります

日本人の「貯蓄率」の現状

貯蓄率の重要性をお話ししましたが、現在の日本人の貯蓄率は約4%と、世界の主要国に比べて日本の家計貯蓄率は低いという現状が分かります。1990年以降から家計貯蓄率が下降し始め、2014年には消費税増税に伴いマイナスに。それからも引き続き、低水準で推移しているという特徴があります。日本人は貯蓄好きとの印象がありましたが、それは常時20%を超えていた1970年代のイメージであり、現在は違ということがわかります。経済情勢の悪化や増税により貯蓄率が低下していますが、私たちは今一度家計の中身を理解し、資産形成に取り組む時期が来ていると思われます。

社会実情データ図鑑より

まとめ

本記事では、「お金の方程式」と「お金に働いてもらう」という概念と、お金の悩みから解放され、FIRE(経済的自由)を達成するためのいくつかのポイントを説明しました。箇条書きでまとめると以下となります。

・『お金』は「資産形成 = (収入 – 支出) + 資産 × 利回り」というシンプルな数式で表現できる

・資産形成においては、「お金に働いてもらう」ことが必要であり、その際には「複利」を生かす必要がある

・”お金を働かせるための効果”を高めるには、貯蓄率を高める必要あるが、日本人の貯蓄率は数パーセントにとどまっており高める必要あり。さらには、早期にFIRE(経済的自由)を目指すなら、40%や60%といった今まで私たちが考えていたものより高い貯蓄率が必要

今回の内容はどれも当たり前のことですが、「複利」「貯蓄率」の具体的な数値による効果をみることで、目指すべき目標値が明確になったと思います。以降の記事では、「収入を増やす」「支出を減らす」「運用利回りを上げる」ための具体的な方法を紹介していきます。