永遠のテーマ「賃貸vs購入論争」への最終解
マイホーム購入も不動産投資と考えるべき

永遠のテーマ「賃貸vs購入論争」への最終解<br>マイホーム購入も不動産投資と考えるべき

前回の記事では、5大支出の1つである「住宅費用」についてよく聞く「住宅費用の目安」を詳しく見てきました。その中で、住宅情報誌や住宅サイトにある「住宅費用の目安」は「多すぎ」であり、若いうち(特に20代30代)は住宅費は極力抑え、貯蓄し投資に回すことによって将来のマネーマシン(不労所得)を作ることができることをご紹介しました。

この記事では、「住宅費用」に関して、「住宅費用の目安」と同じぐらいよく話題にでる「賃貸vs購入論争」について、結局どっちがよいのか?をご紹介していきます。

永遠のテーマ「賃貸vs購入論争」への最終解

住宅に関する議論で必ず1度は見聞きするのが「購入vs賃貸」論争だと思います。すなわち、 家は買ったほうが得なのか、賃貸を借り続けたほうが得なのかといった内容です。「住宅費用の目安」同様、住宅に関する普遍的なテーマのひとつであり、多くの情報誌やサイトの記事で損得が語られています。

しかしながら、それらの中には、現実の市場動向を無視したものや大切な観点を無視したもの、恣意的なもの多く、情報ソースによって異なる結論になっています。そこでここでは、賃貸と購入比較における観点を構造的に捉えるとともに、結局のところどちらにすべきかの結論をご紹介します。

賃貸vs購入論争の双方主張の整理

それでは、賃貸および購入における双方の主張を、メリット/デメリットとして見ていきましょう。

賃貸vs購入を決めるための観点を大きく分類すると、「住みやすさ(品質)」「変化対応性/流動性」「コスト」の3つで表すことができます。


これらの観点で考えると、定量評価である「コスト」を除いた場合、
・「変化対応性/流動性」を重視する場合は、「賃貸」
・「住みやすさ(品質)」を重視する場合は、「購入」
が方向性となります。

すなわち、今後、ライフスタイルや家族構成の変化が予想される若い時や、海外赴任・転勤などが多い職業によっては「賃貸」が適していることになりますし、家族ができ一定期間ライフスタイルに大きな変化がない場合は、「購入」が適しているとなります。

一方、わたしたちの最大の関心事である「コスト」はどうなるでしょうか?

住宅購入も「不動産投資」と考える

賃貸vs購入論争におけるコストは数多くの住宅情報誌や住宅情報サイトで比較検討されています。
〇ARUHI
  【賃貸or購入】住居費の生涯コスト、メリット・デメリットを徹底比較!
 ⇒総支出額で比較。39年目で購入有利の結論

〇HOMES
 35年住宅ローンと家賃はどちらが得?マンションの購入と賃貸
 ⇒総支出額で比較。35年目までは賃貸、40年目~は購入有利の結論

〇SUUMO
 賃貸vs購入 どっちがおトク? 住居費シミュレーション
 ⇒総支出額で比較した場合、50年間ほぼかわらず。
  物件の売却金額を含めた場合、購入有利の結論

〇OPEN HOUSE
  賃貸と購入、どっちがお得?
 ⇒支出額では賃貸有利。住宅(特に土地)の資産価値含めた終始により、
  購入有利の結論

結果は住宅情報サイトによって異なるという結果になっています。理由は当たり前で、サイトによって比較する諸条件が異なりますし、住宅情報サイトが誘導したい方向に誘導できるような恣意的な条件になっているからです。(住宅ローン専門金融機関や、新築戸建分譲を主な生業としているサイトが「賃貸」を結論にするわけはないです)

そのような理由から、それぞれの結論は異なりますが、総じて、
・支出額のみで考えると「賃貸」と「購入」で同じ
・資産価値含めた場合、収支では「購入」が有利
ということが内容からみてとれます。

以上のことから、資産価値の下がらない物件を「購入」すること、すなわちマイホームを不動産投資として物件を精査・購入判断することができれば、コスト面では「購入」が有利になると言えます。

不動産投資のリターンとリスク

マイホーム購入を考えた場合、「新築 or 中古」「戸建 or マンション」といった選択肢があり、それらの掛け合わせで4つのパターンを考えることができます。
 ・新築×戸建
 ・新築×マンション
 ・中古×戸建
 ・中古×マンション

家族構成やライフスタイル等によって、ある程度選択肢は決まる場合もありますが、ここではマイホームを「投資物件」として考えた場合、どの選択肢が良いかを一緒に考えていきましょう。

新築は「利益」「販売管理費」分不利

新築と中古の購入価格の内訳は一般的に以下のようになります

〇新築物件価格=土地取得費用+建築費用+デベロッパー利益+販売管理費(営業活動、広告宣伝費用など)

〇中古物件価格=土地価格+建物価格+仲介手数料

新築物件、中古物件ともに「土地費用」「建物費用」以外の要素があり、新築物件はデベロッパー利益+販売管理費で約20%~30%上乗せされており、中古物件は仲介手数料で約3%上乗せされます。よって、新築を買って数年後に売却しようとしたら、査定価格が購入価格よりも何割も低くて青ざめたということはよく聞く話であり、このようなことから、新築物件は中古物件に比べてリターンは不利といえます。

マンション価格は2013年以降、高騰が続く

このグラフは2010年を100とした場合の不動産価格指数です。戸建住宅・住宅地がほぼ変わらずである一方、マンション価格は一貫して上がり続けており、2019年には約1.5倍にまでなっています。このことから、マンション価格は戸建住宅に比べ得て一般的に割高の状態にあるといえます。

価格下落は「立地」によって決まる

次に売却価格に関してみていきましょう。物件価格が下落しにくいかどうかを決める最大の要因は「立地」です。一般的には都心に近い・利便性が良い・最寄駅に近い立地であるほど下落率が小さくなります。また、このような物件は流動性が高く、ライフスタイルの変更により急遽物件を売る必要が出た際にも、売却できず困るといったリスクは低い傾向になります。

戸建は建物価格ゼロになる覚悟をもつ

一戸建てのは築年数が一定以上になると建物の価値がほぼゼロになり、土地代だけになるケースが多いのが現状です。こだわりがある豪華な注文住宅であったとしても同じです。一方、マンションでは駅に近いなど立地条件が良く、メンテナンスが行き届いた物件によっては値下がりが小さい傾向があります。

利回りとリスクのマトリクス。中古マンションがおすすめ

これまでの議論をもとにした「利回り」と「リスク」をマトリクスにしたのが以下になります。

中古マンション(利便性良い)

利便性が良く、状態のいい中古マンションは。購入価格が比較的高額になる一方、物件の値下がりが緩やか、もしくは上昇する傾向があるため購入時相当で売れる可能性があり、リターンは良いといえます。また、このようなマンションは流動性も高くよい物件があれば有力候補として考えるのが良いでしょう。

新築マンション(利便性良い)

次に、新築マンション(都心タワマン等)を考えてみましょう。近年のマンション価格の高騰とデベロッパの利益から考えると良い利回りは期待できません(価格下落が激しい)が、需要が高く、売れないというリスクは低いといえます。

中古戸建て(利便性良い)

一方、戸建はどうなるでしょうか?まず中古戸建を見ていきましょう。中古物件は新築に比べて割安である一方、物件個々の状態によっては高値掴みとなるケースもあります。物件を十分に目利きし、第三者機関による評価を実施の上で購入判断しましょう。また、土地価格の情報も確認のうえで、更地にして売却する出口戦略含めて、事前に検討するのがよいでしょう。

新築戸建

新築戸建てを検討する場合は、物件価格が高額になる傾向がありますが、土地価格の下落が低い場所を候補に考えましょう。郊外に広く豪華な建物を建てたとしても、仮に売却となった場合、ほとんど値が付かないということはよく聞くケースです。

まとめ

本記事では、5大支出の1つである「住宅費」でよく話題にでる「賃貸vs購入論争」に関して考えてきました。箇条書きでまとめると以下となります。

・「賃貸vs購入」は基本はライフスタイルにより結果は分かれる。すなわち、「変化対応性」を重視する場合は「賃貸」、「住みやすさ(品質)」を重視する場合は「購入」がよい

・コストに関しては、支出額のみで考えると「賃貸」と「購入」で同だが、売却時の収支まで考えると「購入」が有利

・よって、マイホーム購入を不動産投資と同じ基準で精査・判断することが重要

・不動産投資も「リターン」と「リスク」で評価。立地のいい中古マンションがおすすめ

次回の記事では、5大支出のうちの「保険費用」に関して見直し・最適化に向けた方法をご紹介していきます。