VIX恐怖指数を使ったリスクヘッジ。急落局面に対する保険を持つことがリターン最大化につながる

市場は常に変化します。コロナショックのように急落することもありますし、コロナからの回復局面において、上昇基調がながく続く事もあります。このように、市場が変化を繰り返すことは常ですが、急落局面に対して備えるすべはないのでしょうか?
本記事では、「市場参加者の心理状態を捉え、急落局面に対して備えるための方法」をご紹介します。
VIX恐怖指数と株式相場の関係性
VIX恐怖指数とは
VIX指数は、「Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)」の略語です。
ボラティリティとは価格の変動性、変わりやすさや振れ幅を表します。ボラティリティが高いとは、その価格の振れ幅が大きいことを意味します。市場が大きく上下するときは、何か悪いイベントが起きた時や、なんらかのショックが発生しそうなのとき・発生したときなので、日々の値動きが激しくなります。そのようなときは、ボラティリティが高まるため、VIX指数が高まる傾向となります。一方、相場の膠着状態が続く、ボラティリティーがあまりないと見る投資家が多くなると、VIX指数は低下します。つまり、VIX指数が高いほど、株式相場の急な下落や急な上昇が起こる可能性が高く、VIX指数が低いほど、株式相場が安定しており、株価の急な下落や急な上昇の可能性が低いと言えます。
株式相場との関係性。20を超えると要警戒
VIX指数は通常10〜20の範囲内で動くとされています。指数が20を超えると、市場参加者は不安に感じているとされ、逆に20未満の時は、市場参加者は心理的に安定していると考えられます。指数が上昇し20付近に近づくと、近いうちに大きな下落があるのではと市場では警戒感が高まります。2020年3月の新型コロナショックの相場急落局面でのVIX指数は85.47まで上昇しました。この様に投資家が市場に不安や恐怖を抱いている時に上昇する数値なので、日本語では「恐怖指数」と呼ばれており投資家心理を数値化したもの言えます。
VIX(恐怖指数)と株価のこれまでの
このようにVIX指数は株式市場の動向を読み解く上で重要な指数です。リーマンショック以降でVIX恐怖指数が高まった局面としては次のようなものがあります。
時期 | イベント | VIX指数 |
2008年10月 | サブプライムローン問題やリーマンショック | 89.5 |
2011年10月 | 欧州ソブリン危機。ギリシャ、アイルランド、ポルトガル等の財政危機 | 46.8 |
2015年8月 | チャイナショック。中国の経済成長減速をきっかけとする世界同時株安 | 53.2 |
2018年2月 | アメリカ景気悪化懸念 | 50.3 |
2020年3月 | コロナショック。COVID-19の感染拡大による世界同時株安 | 85.4 |
リーマンショックの際、VIX指数は一気に上昇しました。その後50を割るまでに1~2カ月程度かかり、完全に落ち着くまでに1年以上の時間を要しました。また、2020年3月の新型コロナショックの相場下落局面ではVIX指数は85.47とリーマンショックとほぼ同じ水準まで上昇し、落ち着くまで2~3か月ほどかかっています。
VIX恐怖指数の今後の見通し
以下がVIX恐怖指数のチャートです。VIXそれでは、VIXの今後の見通しはどのようになるのでしょうか?

チャートからわかるように、VIXの上昇とS&P500の急落は連動します。
コロナショックの際には、約12~14にあったものが最大で85.47まで、約7倍へと一気に上昇しましたが、その後は落ち着き、現在は15~20の間を行ったり来たりしています。現在は、コロナからの回復局面にあるため、比較的VIX係数は落ち着いている状況が続くとですが、今後、
- 金融政策の変化 : FRBによるテーパリングや利上げ
- バイデン政権の増税: 富裕層への増税やキャピタルゲイン課税
が想定されますので、それらのイベントにより上昇する可能性はあります。また、その他の今見えていない事象による、株価の急落・VIX指数の上昇に対しても注意していく必要があるでしょう。
VIX指数に投資する方法
ここまでVIXについて概要・特徴・今後の見通しについて説明してきました。以降では、実際にVIXに投資する方法に関してご紹介します。方法としては現物購入やCFD取引、レバレッジの効いたものなどいくつかありますが、ここでは最もシンプルな方法をご紹介します。
1552 国際のETF VIX短期先物指数
最もシンプルな方法はVIXをインデックスとするETFやETNに投資する方法です。具体的には、「1552 国際のETF VIX短期先物指数」があります。
その他の方法 1561,VXX,VIXY,UVXY,SVXY
その他としては以下のものがあります。ロング・ショート、レバレッジありなど、それぞれ特徴がありますので、みなさんの投資スタイルに合わせて選択することをお勧めします
Ticker | 商品名 | Long/Short | レバレッジ | 経費率 |
1561 | 国際のETF VIX中期先物指数 | ロング | 1倍 | 0.40% |
VXX | iPath Series B S&P 500 VIX Short-Term Futures ETN | ロング | 1倍 | 0.89% |
VIXY | ProShares VIX Short-Term Futures ETF | ロング | 1倍 | 0.87% |
UVXY | ProShares Ultra VIX Short-Term Futures ETF | ロング | 1.5倍 | 1.65% |
SVXY | ProShares Short VIX Short-Term Futures ETF | ショート | 0.5倍 | 1.38% |
VIX(恐怖指数)連動ETFに投資するメリット・デメリット
VIX連動ETFへ投資する注意点
VIX連動ETFは、株価が急落する場面では大きなリターンを見込むことができます。しかしながらこのETFは、大きな注意点があります。過去の価格推移を見ればわかりますが、基本的には右肩下がりで下落していく特徴をもち、長期保有に向かないものです。よって、仮に積み立て投資などをする場合は基本的には価格が下がり続けることを理解しておく必要があります。一方で、市場がクラッシュした際には大きな価格上昇が期待できまうので、その時にちゃんと利益をとって売却する必要があります。
活用方法
上記のVIXの特徴を踏まえると、VIXはS&P500と概ね逆相関、つまり反対の動きをしますので、この両方を買うことで、平時ではVIXの逓減をS&P500の上昇でヘッジすることができるとともに、有事の際はS&P500の急落をVIXの上昇でヘッジすることも可能です。また、市場がさがるということは、投資先がより割安になっているということなので、VIXという保険で得たリターンによって、割安になっている資産を買うことが可能となります。
まとめ
本記事では、VIX恐怖指数を用いた資産運用方法をご紹介しました。
まとめますと、
・VIX恐怖指数は市場の不安心理を表したもの。下落局面で上昇する特徴あり
・一方で、平時は逓減していく傾向あり、長期保有にはむかない
・S&P500と併用することで、有事の際のS&P500のヘッジとなる
みなさんのポートフォリオのバリエーションを増やす一つの有効な商品だと思います。ぜひいろいろと試して、より一歩上の投資を目指してみてはいかがでしょうか?また、改めての注意点ですがVIX指数に連動したものは、ポートフォリオの中心にはなりません。ポートフォリオの中核となるETFの選び方および具体的な銘柄に関して、「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方①」「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方②」の中で述べましたので、ぜひお時間あるときに読んで頂ければと思います。
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