マネーマシンの作り方 ETFの選び方①

マネーマシンの作り方 ETFの選び方①

マネーマシンの中核となるのが、「マネーマシンとはの作り方(基本編)」の中でも述べましたが株式と債券になります。その際、個別銘柄やアクティブファンドではなくインデックスファンドが良く、インデックス投資においてはETFが便利だとお話しました。

本記事では、「ETFって色々あるけどどう選んだらいいの?」と悩んでいる方向けに、ETFの選び方とおすすめ銘柄をご紹介します。

ETFの種類

日本国内から購入できるETFは国内、海外合わせて500銘柄以上あり、多種多様なETFが存在します。具体的には、国内株式を対象とするものや、外国株式や債券、REIT、商品(コモデティ)等、様々な種類があります。また、業種/セクター別、規模別、テーマ別等、特定の対象に投資することもできます。以下では、それらに関してご紹介します。

国内株式・総合

TOPIXや日経平均株価など日本の代表的な株価指数に連動する銘柄です。例えば、TOPIXに連動したETFであるTOPIX ETF(1306)を購入することで、東証一部に上場する2000社以上の企業に投資することと同じ投資ができるというものです。TOPIXや日経225連動型のETFは複数ありますが、その際は、資産残高および売買高が多く、信託報酬が低いものを選ぶのが基本です。

国内株式・業種別

業種別ETFは、東証一部に上場する企業を17の業種で区分し、「TOPIX17 業種別指数」に連動するよう設計されたETFです。業種別ETFを活用することで、銘柄独自要因によるリスクを抑えつつ、特定の業界全体に投資することが可能となります。

たとえば、この業種別ETFを活用することで景気循環にあわせた投資ができます。具体的には、国内外の景気変動を受けやすい景気敏感セクターである「素材・化学」「自動車・輸送機」「機械、電機・精密」は、景気回復局面ではTOPIXをアウトパフォームすることが期待できます。一方、世界の景気変動の影響を受けにくいディフェンシブセクターとして、生活必需品の「食品」「医薬品」やインフラ系の「電力・ガス」「運輸・物流」があります。

国内株式・規模別

時価総額に着目した銘柄です。例えば、「TOPIX Core 30 ETF(1311)」は東証一部の中で、時価総額と流動性の大きな順に30社で構成、算出されたETFであり、「小型コアETF(1312)」は、日本の全上場銘柄のうち、時価総額の小さい小型株の中から最も流動性が低く、値動きが激しくなりがちな超小型株を除いた銘柄で構成されたETFです。TOPIX Core 30 ETF(1311)は、大型株の動向を捉えることが出来る一方、値動きは機関投資家の売買動向や日銀の金融政策に左右されることがあります。また、「小型コアETF(1312)」は、景気拡大局面等、小型株全般が買われる局面での上昇が期待できるといった特徴があります。

国内株式・テーマ別

高配当銘柄やESGに着目した銘柄等、ETFでは様々なテーマに着目して投資することも可能です。ここでは、高配当銘柄および特に注目したいスマートベータETFというものをご紹介します。

高配当銘柄に着目したETF
投資家の中には、値上がり益重視ではなく、配当重視の方もいると思います。そのような方にとって便利なのが高配当株ETFです。高配当株ETFは、国内に上場する企業の中から配当利回りの高い銘柄群を組み合わせたものになります。

スマートベータETF
スマートベータ戦略とは、市場平均で得られる収益に対して、さらに一定のルールによる選別を行うことで、より高いリターンやより低いリスクを目指す投資戦略のことです。スマートベータの戦略における代表的なファクターとしては、ボラティリティ(リスク量の低い銘柄(群))、クオリティ(健全な財務体質を持つ企業)、バリュー(割安銘柄)、サイズ(小型株)、モメンタム(株価が上昇基調の銘柄)といったものがあります。

先進国株式・新興国株式

地域・国という観点では、日本以外にも様々な場所を対象としたETFが存在します。例えば、世界全体に投資するものや、先進国や新興国の株式全体に投資するもの、米国株等単一国に投資するものまで、様々なETFがあります。

国内債券・外国債券・新興国債券

債券とは、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。債券には満期が定められており、満期となる償還日には、額面金額が投資家に払い戻されます。投資家は、発行体に対してお金を貸す代わりに利子をもらう、というイメージだり、投資資産として安定性が期待できます。但し債券は、満期までの期間がそれぞれ決まっているため、満期後ごとに新しい債券を購入しなくてはなりませんが、ETFで購入すれば、銘柄入替等を考慮する必要はありません。

REIT(リート)

REIT(リート)とは、投資家の資金を集めて、オフィスビル・商業施設・マンションなどの不動産で運用し、その不動産から得た賃料収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。実際に不動産を購入するとなると多額の資金や煩雑な手続きと管理が必要になりますがREITを購入することでそれらの煩雑さを省くことができます。また、一般的に不動産の運用から得た利益の大部分を投資家に配当することや場合により法人税が免除されるために配当が大きくなり、配当利回りの高さで注目されることが多い資産です。

商品(コモデティ)

コモディティ投資とは、商品先物市場で取引されている原油やガソリンなどのエネルギー、金やプラチナなどの貴金属、トウモロコシや大豆などの穀物といったようなコモディティ(商品)に投資することをいいます。一般的にコモデティは、株式や債券と異なる値動きをするため、株や債券の補完的な機能が期待できますが、株式等に比べ流動性が低いことや値動きの幅が大きいことなどには注意が必要です。

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ETFの選び方 チェックすべき5つのこと

目標リターンを算出する

「目標金額」「運用年数」「初期資金」「毎月の積立金額」から必要な目標リターンを算出しましょう。目標リターンの計算にあたっては、モーニングスターの「金融電卓」(https://www.morningstar.co.jp/tools/simulation/index.html)が便利ですので、是非活用しましょう。この計算の結果、利回りが10%以上といった高いものになる場合、より現実的なプランにする必要があります。

ポートフォリオを決める

ご自身の許容できるリスクと、目指すリターンをから資産構成が決めましょう。基本的な考え方は
・リスクとリターンは比例する。高いリターンを目指すのであれば、リスクを許容しないといけない
・リスクとリターンは 海外株式 > 国内株式 > 海外債券 > 国内債券 の順
となります。期待リターンとリスクの目安は以下となります。

期待リターンリスク
日本株6-8%20%
先進国株7-9%25%
新興国株9-11%30%
日本債券0-1%5%
先進国債券1-2%10%
新興国債券5-7%20%

資産クラスとして、様々なものがありますが、まずは以下のポイントに沿って選ぶのが無難です。
・まずは株と債券を中心とする
・損を極力したくない人は債券比率を高くする
・コモディティなどは比較的リスクが高いので、最初から取り入れる必要はない
また、国・地域に関しても以下を考慮しましょう。
・株は日本に偏らない。長期的成長を考慮して、先進国株式(特に米国)、新興国株式をおさえる
・債券は新興国は政情不安のリスクが高いため、米国債や米国ハイイールド債(高利回り社債)を組み込む

リターンの目安を算出

まずは好みの配分でポートフォリオを作り、先ほどの表の目安の数字を使って、ポートフォリオ全体のリターンとリスクを計算します。本来は、資産間の値動きの相関を加味する必要がありますが、ここでは簡単に、ポートフォリオの比率に合わせて各資産のリターンとリスクを加重平均しましょう。これによって、算出されたリターンが目標に近いかどうかをまずチェックしましょう。

リスクを算出し、最大損失(リスクの2倍)を把握

次が、リスクです。ここでのリスクというのは「値動きの振れの大きさ」を意味し、リスクの約2倍が最大の振れ幅の目安になります。たとえば、期待リターンを5%、リスクを20%とすると、年間の運用成績はそこからプラスマイナス40%(=リスク20%の2倍)の振れがあり、おおむねプラス45%~マイナス35%の範囲になります。この最大損失が許容できるかどうか?をチェックしましょう。

ポートフォリオ例

許容できるリスク(および年齢)と、目指すリターンによって変わってきますが、基本パターンとしては以下の2パターンがあります

基本パターン
期待リターン6%前後、リスク20%前後を目指すパターン

積極パターン
期待リターン8%強、リスク25%前後を目指すパターン

以上でポートフォリオができましたので、次は具体的なETFをどう選んでいくかをみていきましょう。

ETFの選定

ポートフォリオの資産配分が決まったら、次の段階はポートフォリオに組み入れるETFを実際に選んでいくことになります。ETFの選定にあたっては、以下の5つのポイントをチェックしていきましょう。基本的には初めの3つでスクリーニングをかけ、残りの2つで精査をしていくイメージです。

①純資産残高と出来高
②コスト(信託報酬)
③乖離率
④リターンとリスク
⑤ポートフォリオの中身

ETF選定ポイント①:純資産残高と出来高

まずチェックしたいのは、純資産残高と出来高です。純資産残高が小さく、出来高も小さいETFは償還されてしまうリスク(運用会社が運用をやめる)がありますし、「売りたいときに売れない、買いたいときに買えない」という流動性リスクもともないます。よって、出来高は、流動性の観点から最低でも1万株、できれば3万株ほどはあったほうが望ましいといえます。

ETF選定ポイント②:コスト(信託報酬)

コスト(信託報酬)が十分に低いことが重要です。ETFは全般に低コストな商品ですが、その中でもできるだけコストが低いものを選びましょう。ほんの1%が複利ではとんでもない差に後々なっていきます。

ETF選定ポイント③:乖離率

ETFの場合、出来高が少ないと、基準価格(実際の価値)と取引価格の乖離が大きくなるという問題があります。これをみるためにチェックしたいのが「乖離率」です。乖離率については、±0.5%以内であれば問題ないですが、±1%を超える水準の場合はさけましょう。

ETF選定ポイント④:リターンとリスク

いよいよリターンとリスクを見ていくのですが、ターゲットとする資産クラスにおいて、選定ポイント①②③で絞り込んだとしてもそれなりの数がヒットすると思います。その際は、モーニングスター レーティング(https://www.morningstar.co.jp/etf_foreign/search.jsp)というものを使って絞り込むのがおすすめです。簡単に言うと、同じリスクをとった際、最もリターンが大きいもを★5、小さいものを★1とした指標です。これがすべてではないですが、★5→★4→…の順序で物色していくのが良いでしょう。

ETF選定ポイント⑤:ポートフォリオの中身

先進国株式、新興国株式というように、投資地域が同等のETFでも、ベンチマークとする指数が違うため、ポートフォリオの中身が異なり、結果値動きが異なることに注意しましょう。具体的には、同じ、新興国株式ETFである「バンバード・FTSE・エマージング・マーケットETF(VWO)」と「iシェアーズMSCIエマージング・マーケットETF(EEM)」では中身が異なります。たとえば、VWOは中国と台湾が中心である一方、EEMには韓国も含まれます。また、VWOのほうが構成銘柄が約4倍多く、信託報酬は約1/5低いという違いがあります。

おすすめETF

おすすめポートフォリオを組むのに、ここまで見てきたチェックポイントをクリアするETFの一覧が以下になります。是非、みなさんがポートフォリオを組む際の参考にしていただければとお思います。

おすすめETF(基本)

以下が基本となるETFです。

資産クラスファンド名/銘柄コード上場市場信託報酬純資産残高平均出来高乖離率リターン
(10年)
レーティング
グルーバル
株式
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)米国0.07%1,954,733百万ドル2,673万株±0.3%9.14★★★
先進国株式バンガード・S&P 500 ETF(VOO)米国0.02%
20,831,002百万ドル
6,541万株±0.3%13.38★★★★★
先進国株式インベスコ QQQ 信託シリーズ(QQQ)米国0.00%15,739,189百万ドル79,558万株±0.2%19.66★★★★★
先進国株式iシェアーズ・コア S&P小型株ETF(IJR)米国0.06%7,139,575百万ドル8,270万株±0.2%12.9★★★★
国内株式MAXIS トピックス上場投信(1348)日本0.078%22,158億円34万株±0.2%10.68★★★★
新興国株式バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)米国0.08%8,454,580百万ドル17,187万株±1.0%3.95★★★
米国債券iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF(AGG)米国0.04%9,094,913百万ドル11,545万株±0.1%3.48★★★
先進国債券バンガード・トータル・インターナショナル債券ETF(BNDX)米国0.06%4,165,754百万ドル7,200万株±0.4%3.44
(5年)
★★★
新興国債券バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF(VWOB)米国0.23%295,370百万ドル811万株±1.0%5.64
(5年)
★★★

マネーマシンの第一歩を踏み出そう

以上がマネーマシンの作り方になります。やってみて学べることも多数ありますので、まずは少額でもいいので投資をしてみてはいかがでしょうか?私は、現物取引では「楽天証券」、CFD取引では「IG証券」を使っています。普通であれば「楽天証券」や「SBI証券」等でよいと思いますが、今後を見据えて多様な資産クラスの取引をワンストップ行いたいともう方は、「IG証券」でも口座を開設してみてはいかがでしょうか?

IG証券

※CFDとは「Contract For Difference」の略で、日本語に訳すると「差金決済取引」となります。簡単に言うと、「差額だけをやり取りする」取引のことです。利益が出たら利益分のみ受け取り、損失が出たら損失分のみを支払う形で取引を行うため、現物の売買は発生しません。

まとめ

本記事では、マネーマシンの中核となる株式と債券の購入において重要な要素となる「ETFの選び方」をご紹介してきました。

様々な商品があるので迷ってしまいますが、ここで上げた選定ポイントをもとに、みなさまなりの選定ポイントを設けて試行錯誤するのがいいとおもいます。是非ご自身の特性に合わせて商品を選んでみてはいかがでしょうか?「マネーマシンの作り方 ETFの選び方②」でもさらなるバリエーションを紹介しているので、是非ご一読ください。

また、参考となる本を紹介しますので、ご興味あるかたはご覧になってください。