VIG:10年以上の連続増配米国株で構成され、高いトータルリターンと市場暴落時に強い最強レベルのETF

マネーマシンの中核となるETFの選び方および具体的な銘柄に関して、「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方①」「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方②」の中で述べました。基本はそれらで紹介したETFを組み合わせたポートフォリオである程度リスクを分散しながら、それなりのリターンを得ることができると思います。
本記事では、「ETFってたくさんあるけど、もうちょっと何かできないかな」と思われる方向けに、注目に値する個別銘柄の1つである10年以上連続増配米国ETFであるVIGをご紹介します。
VIGとは
VIGの概要
VIGの正式名称は、”VIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF)”です。Dividendは「配当」を意味し、Appreciationは「感謝」や「値上がり」「増価」を意味します。なので、「増配」を意味します。このVIGはNASDAQ Dividended Achievers Select Indexに連動するETFであり、最低でも10年間以上増配している企業の時価総額加重平均指数となります。
The NASDAQ US Dividend Achievers Select Index is comprised of a select group of securities with at least ten consecutive years of increasing annual regular dividend payments.
The NASDAQ US Dividend Achievers Select Index is a modified market capitalization weighted index.
配当貴族と配当王
そんなに10年間も増配している企業なんてあるの?と思われる方もいらっしゃると思いますが、米国には25年以上増配している「配当貴族」銘柄や50年以上増配している「配当王」銘柄が多数存在しています。2021年09月25日現在、配当貴族は65銘柄、配当王は34銘柄と、かなり多くの企業が該当します。
VIGの構成銘柄
このような特徴をもつVIGですが、どのような銘柄で構成されているかを見ていきます。
2021年9月25日現在、VIGの構成銘柄数は247銘柄となっており、構成銘柄上位10社は以下の表のとおりです。
1 Microsoft Corp.
2 JPMorgan Chase & Co.
3 Johnson & Johnson
4 Walmart Inc.
5 UnitedHealth Group Inc.
6 Visa Inc.
7 Home Depot Inc.
8 Procter & Gamble Co.
9 Comcast Corp.
10 Oracle Corp.
60年以上増配を続けるプロクター・アンド・ギャンブル(PG)や、50年以上のジョンソン エンド ジョンソン(JNJ)、同じく40年以上のウォルマート(WMT)などが組み込まれおり、どちらかというとGAFAなどに代表されるようなITの成長産業というよは、業績が好調の成熟企業が多くなります。そのなかで、テクノロジー企業にもかかわらず増配を続けているマイクロソフトとオラクルには敬意を表さずにはいられません。なお資産総額に占める上位10社の割合は約30%となっていて、かなりの割合を占めています。
構成セクター
続いてセクター比率をみていきましょう。
セクター | 構成比率 |
資本財 | 21.50% |
消費サービス | 16.60% |
ヘルスケア | 15.10% |
金融 | 14.20% |
テクノロジー | 13.70% |
消費財 | 9.80% |
公益 | 3.90% |
素材 | 3.00% |
通信 | 2.20% |
製造業を中心に構成されている資本財やウォルマート、マクドルドなどの消費サービス、そしてヘルスケアなどで50%以上を占めています。これらの企業はその業界で確固たる地位・シェアを築いた結果、着実に売上や利益をあげることができ、結果として増配を行なっている企業が多いと考えられます。
一方、現在の米国市場で圧倒的な時価総額を持つテクノロジーや金融の構成比率が約30%とそれほど高くなく、銘柄の構成が現在の米国市場と大きく異なっている点が、VIGの大きな特徴です。
VIGの株価パフォーマンス
それでは以降でVIGの株価、パフォーマンスを見ていきます。比較のために、S&P500に連動するVOOを比べながら見ていきましょう。
直近10年間。S&P500に遜色ないパフォーマンス
VIGの株価は綺麗な右肩あがりですね。パフォーマンス的にはS&P500より若干劣っていますが、大きく変わりません。構成銘柄に景気に影響されづらい成熟企業が多く含まれるということで、S&P500と比べると株価上昇率が低いということです(オレンジがVOO、青がVIGです)

コロナショック時。下落に強いパフォーマンス
下図は、コロナショックの局面におけるVIGの株価です。コロナ後の上昇率はVOOに軍配があがりますが、コロナショック時の下落が、市場平均より小さかったことがVIGの特長です

10年で年間分配金は、約2倍強に成長
それでは続いて、VIGの最大の特徴である年別の分配金推移を見てみましょう。
VIG | 対前年比 | 年間合計 |
2009年 | – | 0.979 |
2010年 | 7.05% | 1.048 |
2011年 | 11.83% | 1.172 |
2012年 | 20.31% | 1.41 |
2013年 | -1.56% | 1.388 |
2014年 | 14.19% | 1.585 |
2015年 | 14.76% | 1.819 |
2016年 | 0.38% | 1.826 |
2017年 | 5.10% | 1.9191 |
2018年 | 6.18% | 2.0377 |
2019年 | 4.72% | 2.1339 |
2020年 | 7.62% | 2.2965 |
グラフで見ると分かる通り2009年以降、2013年を除き、11年間で10度の増配を行っており、この10年で年間分配金は、約2倍強に成長しています。増配率を計算すると約8%と、非常に安定的な増配を続けていることがわかります。
コロナショックのあった2020年の増配率も、直近3年平均、5年平均を大きく上回った数値であることからも、どんな環境下でも安定した増配を続けてくれるETFといえます。
VIGのメリット・デメリット
メリット
トータルリターンがS&P500と長期的にはほぼ同等である点。そして、やはり、着実に増配していく点だと思います
デメリット
一方、トータルリターンではS&P500には劣り、米国高配当VYMに比べると配当利回り、増配率も劣る点が注意が必要です。
買うべきか・買わざるべきか
トータルリターン・配当利回り・増配率とバランスよくポートフォリオの中心となりえるETFだと思います。トータルリターンや配当利回りでそれぞれ劣る商品がありますが、やはりVIGが優れいている点は金融やITの構成比率が低いことから、景気後退や金融危機などに強いことだとおもいます。VOO並みの高いリターンを期待しつつ、よりディフェンシブなポートフォリオにしたい時に活用するといった使い方になるかと思います。
まとめ
本記事では、マネーマシンの中核となる「ETF」のバリエーションとしてVIGをご紹介してきました。
まとめますと、
・ 10年以上連続増配米国ETF
・ トータルリターンがS&P500と長期的にはほぼ同等
・ 10年で年間分配金は、約2倍強に成長
・個人的には、 VOO並みの高いリターンを期待しつつ、よりディフェンシブなポートフォリオにしたい時に活用することをお勧め
その他、いろいろなバリエーションも組めますので、是非ご自身の特性に合わせて商品を選んでみてはいかがでしょうか? マネーマシンの中核となるETFの選び方および具体的な銘柄に関して、「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方①」「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方②」の中でも述べているのであわせてみてみてください。
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