「金持ち父さん」と「LIFE SHIFT」から学ぶ
サラリーマンから富裕層へのロードマップ

「金持ち父さん」と「LIFE SHIFT」から学ぶ<br>サラリーマンから富裕層へのロードマップ

前回は記事では、資産形成においては「お金に働いてもらう」ことが必要であり、その効果を高めるためには「貯蓄率を高める必要ある」と述べました。当然ながら、貯蓄するためには「収入を増やす」か「支出を減らす」の2択しかありません。

この記事では、「収入を増やす」にはどうしたらいいのか?をご紹介します。具体的には、世の中にはどのようなタイプの職業があり、それぞれどんな特徴を持っているのか、そしてFIRE(経済的自立)を達成するために最終的に目指すべき職業をご紹介します。

また、読者の多くはサラリーマンの方が多いとおもいますので、サラリーマンという職業は”搾取される職業”になっていることをお伝えしつつ、最終的に目指すべき職業へのロードマップをご紹介します。

「金持ち父さん貧乏父さん」:稼げる職業とはなにか?

世の中には様々なタイプの職業がありますが、それらを「お金を稼ぐ」という切り口で上手く分類しているのが全米ベストセラーである「金持ち父さん 貧乏父さん キャッシュフロー・クワドラント」です。

キャッシュフロー・クワドラント(ESBI)とは

本書では、職業を4つのタイプに分類しています。それぞれにおいて「お金を得る方法」「どんな生き方・時間の使い方をしているか」といったお金・人生に関わる違いを紹介しています。
E:Employee(労働者)
S:Self employee(自営業者)
B:Business owner(ビジネスオーナー)
I:Investor(投資家)

Employee(労働者)

B(ビジネスオーナー)に雇用されて、時間や労働力を切り売りすることで収入(給料)を得ているのがE(労働者)です。仕事の成果や労働時間増(残業)で収入を増やすことはできますが、大幅にアップすることはなく、稼げる額に上限があります。一方、成果が上がらなくても毎月必ず一定の収入が得られます。
また、働く場所(転勤)や休暇などの裁量は基本にB(ビジネスオーナー)にあるため不自由がある一方、ある程度雇用を守られていたり会社の信用によりローンが組みやすいなどのメリットがあります。日本人の多くがここに属しています。

Self employee(自営業者)

E(労働者)と同じく、時間や労働力を切り売りすることで収入を得ているのがS(自営業者)です。自分でお金を稼いで、自分を養っている状態です。多く働けば収入も比例して増える一方、働かなくなると稼ぎはゼロになるという特徴があります。
また、働く場所やスケジュール・仕事内容などは自分自身の裁量でで決定できるため自由がある一方、大きな事故(病気・交通事故など)で動けなくなった時に収入がゼロになるという不安定さや社会的な信用は低い(ローンの審査が通りづらい)などのデメリットがあります。個人でお店を経営していたり、フリーランスで働いている人が該当します。

Business owner(ビジネスオーナー)

B(ビジネスオーナー)は、事業を立ち上げて権利収入/不労収入を得ているある程度の規模の会社を所有・経営している人です。事業が成功すれば、立ち上げ時にかけた投資(人、モノ、お金、時間)に対して、何倍もの対価を得ることができます。
仕組みを作り上げ、従業員を雇用し、事業を軌道に乗せることによって、自分が働かなくとも継続的に収入を得ることできるため、働く場所や時間などの裁量が高まる一方、事業が必ず成功するわけではないというリスクもあります。

Investor(投資家)

有望な会社・ビジネスおよび各種投資対象(株・債券・不動産・コモディティなど)に投資して利益を得ています。ビジネスの仕組みを考えるのがB(ビジネスオーナー)ですが、I(投資家)は仕組みすら考えず、基本的にお金を働かせてお金を得ています。
また、自身の時間を使うことなく、他人のビジネスを利用しているため、働く場所や時間などの裁量が極めて高まる一方、投資を行うための原資をいかに準備するかが課題になります。

お金がない&時間がないを解決するには?

労働収入vs不労収入

左側のクワドラントは労働収入が基本です。すなわち、自分の時間・労働をお金に換えています。よって、日々”お金のために働いている”と状態であり、自分が働かないと稼げない、常にお金は出て行く仕組みの中にいるので、少しでも歩みを止めると困窮することになります。
一方、右側のクワドラントは不労収入が基本です。自分が働かなくても対価をもらえるような仕組みの中にいます。よって、”お金のために働く”ということはなく、お金が勝手に入ってくる、お金がお金を生む状態もあるので、お金がたまる速度が飛躍的に上がります。

富の集中

労働収入で生きる左側のE(労働者)またはS(自営業者)の人数が約9割、不労収入で生きる右側のB(ビジネスオーナー)とI(投資家)の人数が約1割と言われています。一方、世の中の富の約9割が右側のクワドラントが保有しており、残りの約1割を、左側のクワドラントで分け合っていることになります。すなわち、右と左では1人あたりですと約100倍近い富の差があることがわかります。

これらのことから、私たちは一刻も早くお金と時間を多く得るために右側のクワドラントへ移ることが必要といえますが、一足飛びにサラリーマンからB(ビジネスオーナー)やI(投資家)になるのはかなりリスクが高く、当然ながら、いかに事業を成功させるか、投資資金を確保するかが課題となります。

「LIFE SHIFT」:生涯「変身」のすすめ

私たちは今まで、20歳前後まで教育を受け、60歳まで懸命に働き、その後は引退して余生を楽しむといった、「教育→仕事→引退」という3つステージが今までは当たり前でした。全米ベストセラーLIFE SHIFTでは、人生100年時代を迎えようとしている中、このような画一的な人生観および職業観ではなく、生涯「変化」「変身」を続ける人生を勧めています。そのような人生の中での職業はどのようなものになるのでしょうか。

※経済産業省「人生100年時代を踏まえた「社会人基礎力」の見直しについて」

エクスプローラー(探検者)

1つの場所・職業に腰を落ち着けることなく、探検と旅を続け、新しい世界と経験を求めるステージです。様々な人々と触れ合い、色々な経験をすることで価値観が揺さぶられ、自分の人生の目的や生き方を再考します。

インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)

“職を探す”人ではなく自分の”職を生み出す”人です。組織に属さずに、自由と柔軟性を重視して小さなビジネスを起こします。このステージの人たちは、金銭的資産を蓄えることより事業活動自体を目的としており、試行錯誤しながら未来を探索して学習を深めていくことになります。

ポートフォリオ・ワーカー

異なる種類の複数の仕事や活動を組み合わせて働く働き方です。VUCAと呼ばれる変化の激しい時代においては、一つの産業が生まれ、コモディティ化・衰退・消滅するまでの期間が短くなっていく中で、1つに依存するのではなく、多様なスキルとネットワークを活用して生きていきます。

馴染みのない人生観・職業観のため、取っ付きにくい一面もありますが、私たちが理解しておきたいのは、以下の3つです。

  • 変化の激しい時代において、会社や仕事がなくなるのは当たり前。サラリーマンのみに依存してはいけない。
  • 常に学びビジネスの種を探し続ける
  • 複数の収入源をもつことで不足のリスクに備える

以降では、ここでご紹介した「金持ち父さん」と「LIFE SHIFT」からの学びをもとに、私たちはどのようなにすればお金の悩みから解放されるかをご紹介します。

サラリーマンからFIREへの職業ロードマップ

搾取され続けるサラリーマン

ここで、今一度サラリーマンとはどのような職業かを見てみましょう。かつての日本企業の多くは終身雇用を採用し、福利厚生も潤沢であり、一度大企業・優良企業に入れば年功序列で収入が増え、定年まで安泰というローリスク・ミドルリターンの居心地のよい環境でした。しかしながら、近年、終身雇用は崩壊、福利厚生もそぎ落とされ、さらには政府から控除縮小・廃止というように、ミドルリスク・ローリターンのおいしくない、搾取され続ける職業になっています。あるデータによると、ここ20年間で手取りが約10%下がっており、今後も環境・待遇が悪化し続けることが予測されます。

サラリーマンからFIREへの職業ロードマップ

それでは、サラリーマンから「金持ち父さん」でいう不労収入だけで生きていくためにはどうしたらよいでしょうか?「LIFE SHIFT」での学びおよび私の経験をもとにすると、以下のステップがよい考えます。

STEP1:高年収・成長性ある業界とプロフェッショナルな業種の選択

業界平均年収が高く成長性ある”業界”において、プロフェッショナルな”職種”へ就きます。ここで「金銭的」「スキル・経験」「人脈」をまず獲得します。次回ご紹介しますが、業界によって平均年収が大きく変わります。自身のどうしてもその業界で働きたいという理由がないのであれば、業界を変える転職をすることもおすすめします。また、機械化やAIによって代替可能な仕事やその会社固有の「スキル・経験」しか獲得できないのであれば、先がないため職種を変える転職をすべきです。

STEP2:本業を継続しつつの副業と投資への着手

本業を継続しつつ、将来に向けての「やりたいこと」を探索しつつ「副業」という形でとりかかりましょう。すなわち、将来に向けた「エクスプローラー(探検者)」という一面も持ち合わせるのです。また、早期に複利の効果をえるために「投資」もはじめましょう。
ここでのポイントは、本業を辞めないということです。適切な本業に就き続けることによって、金銭的な不安は解消されますし、将来のビジネスの種やスキル・経験・人脈を獲得できます。

STEP3:個人事業主・ビジネスオーナーへのシフト

「副業」として成果があがるようになったら「個人事業主」(いわゆる、インディペンデント・プロデューサー)として開業しましょう。開業することによって、各種節税対策をとれるようになり、急速にお金が貯まるスピードが上がっていきます。そこで蓄積された資金をもとにビジネスを始めるのでもいいですし、投資に資金を回すのでもよいと思いますが、ポイントは、複数の収入をもつことにあります(ポートフォリオワーカー)

STEP4:お金の悩みからの解放と、時間的余裕の確保

ここまで来る頃には複数の収入源から自らがあくせく働かなくても十分な収入を得ることができ、お金という悩みからも解放されて生きているころと思います。

以上の段階的なステップを踏むことによって、余計なリスクをとることなく、お金の悩みから解放され、時間的余裕を確保することができます。

まとめ

本記事では、「金持ち父さん」から職業と収入を得るための手段および我々が目指すべき職業を、「LIFE SHIFT」から、変化する必要性と人生観・職業観をご紹介するともに、サラリーマンから富裕層へのロードマップを説明しました。箇条書きでまとめると以下となります。

・収入を取る方法は、ESBI(従業員、自営業者、ビジネスオーナー、投資家)という4つのポジションがある。お金と時間の自由を持つには、ESBIの右側であるビジネスオーナーか投資家になる必要がある。

・変化の激しい時代において、会社や仕事がなくなるのは当たり前。サラリーマンのみに依存してはいけない。常に学びビジネスの種を探し続け、複数の収入源をもつことで不足のリスクに備える必要がある。

・サラリーマンから富裕層に至るには4つのSTEPを順次経ることで達成できる。

以降の記事では、ロードマップのSTEP1となる収入アップに関してご紹介します。