ダイバーシティ マネジメント
異文化理解の基本:7 dimensions of culture

ダイバーシティ マネジメント<br>異文化理解の基本:7 dimensions of culture

かつての日本企業は、日本国籍の男性が大半を占め、雇用形態も終身雇用が主でしたが、近年は随分と様変わりしているのではないでしょうか?私が今勤務している会社でも、女性役員が当たり前になり、様々な国籍を持った社員が、新卒・中途問わず、異なる働き方・多様な価値観をもって働くようになっています(こんなこと書いていること自体が時代遅れなのかもしれませんが…)

このように、日本でも組織の多様化は進み、グローバルレベルで優秀な人材の獲得に成功したり、組織の中に異なる考えや知見、経験、価値観を持つ人を集めることで新たなイノベーションを起こしたりして成功をおさめている組織がある一方、かえって現場が混乱したり、優秀な社員が辞めてしまったりしているケースも見受けられます。

今回は、このような多様化する企業や組織で必須となる「ダイバーシティマネジメント」とは何か?と、その基本となる異文化理解のコンセプトの1つである「7 dimensions of culture」についてご紹介します。

この内容を理解することにより、私たちは「異なるもの」への理解を深めながら、文化や価値観の違いから起こるコンフリクト(意見の対立など)を肯定的にとらえ、異なることに対してどのような対処をすべきかを理解することができます。

ダイバーシティマネジメントとは

ダイバーシティとは「多様性」「雑多」といった意味を持っており、ビジネスにおいては「雇用する人材の多様性を確保する」といったことを意味します。

近年、ダイバーシティマネジメントという言葉が頻繁にきかれるようになりましたが、その背景には、タイバーシティへの取り組みが、偏見や差別の意識に囚われずに平等に雇用機会や待遇を提供するといったある意味、義務的かつ消極的なものから、各人が適材適所で実力を発揮し、異なる考えや知見、経験、価値観を結合・融合することで、従来にない創造的なアイデアを獲得するという積極的な取り組みへとシフトしていき、企業の戦略の1つとしてマネジメントしていこうと経営者の考え方が変わったためだと考えられます。

ダイバーシティへの対応は異文化理解から

このように経営者は、戦略的観点から組織を多様化していこうとするなか、私たち(=従業員、個人)はどのように対応していけばよいのでしょうか?

多様な文化を持つ環境で働くということは、私たちが今まで考えたこともなかった出来事がおこります。それらは長い目でみると、豊かな経験になりますし、人生にとって貴重な財産となる可能性があります。しかしながら短期的には、フラストレーション、混乱およびストレスなどを引き起こす原因にもなり得ます。

実際、私の弟が勤務する企業は、以前は伝統的な日本企業でした。しかしながら経営不振により経営者がフランス人になり、ドイツの拠点で働きながら、中国のサプライヤーと交渉しなければならない環境へと激変しました。今ではいい経験だと彼も笑って言っていますが、当時は文化的な認識の不足から、無意識のうちに会社の方針に違反したり、上司を失望させたり、顧客を怒らせたりしたそうです。

このような文化の違いから来るネガティブな要素を最小化するためには、まずは「お互いの文化の違い」を理解することが重要になります。文化の違いを理解することでコンフリクトが事前に予測できますし、その理由もわかり、対応策を準備することができます。このように、私たちは「異なるもの」への理解を深め、文化や価値観の違いから起こるコンフリクトを肯定的にとらえ、どのような対処をすべきかを事前に備えることで、ポジティブな面を最大化することができるのです。

以降では、文化の違いを理解するためのモデルである「7 dimensions of culture」を紹介します

7dimensions of cultureとは

このモデルは、経営コンサルタントのFonsTrompenaarsとCharlesHampden-Turnerによってつくられました。彼らは世界中の数十の文化の人々の考え方、価値観、好みなどを約10年間研究した結果、それぞれの文化の違いを表すためには、次の7つの側面を用いることで可能であると結論づけました。

  1. Universalism versus particularism.(普遍主義 vs 個別主義)
  2. Individualism versus communitarianism.(個人主義 vs 共同体主義)
  3. Specific versus diffuse.(特定的 vs 拡散的)
  4. Neutral versus Affective/emotional.(中立的 vs 感情的)
  5. Achievement versus ascription.(業績 vs 属性)
  6. Sequential time versus synchronous time.(順次的 vs 同期的)
  7. Internal direction versus outer direction.(内部指向 vs 外部指向)

すなわち、誤解を恐れずに言えば、相手の出身国・育った国を知ることで、相手の考え方、価値観や信念、好みがある程度予測できるということを示しています。

このモデルをうまく使用することで、人々の行動の要因となっている文化的背景が理解できるようになります。その結果、
・異なる文化を持つ方々との誤解を防ぐことができる
・意見の対立の根拠を知ることことができる
・結果として、良い関係を構築することができる
というメリットがあります。特に、組織のダイバーシティが進み、世界中の人々とかかわりあう機会が増える現在では、このモデルに限らず異文化を理解するための方法論の習得は必須といっても過言でないでしょう。

一方で、このモデルを過信、依存することで、人種的ステレオタイプに陥ることを気を付けないといけません。すなわち、
・グループとしての理解を重きを置きすぎることで、個人の性格や考え方などの無視が起こり得る
・誤解や人間関係の損傷、場合によっては対立をもたらす
といったデメリットがあります。

これらの使用にあたっては、「xxxなのだから、xxxのはずだ」といった先入観でもって使うのではなく、「xxxかもしれない」といった、仮説を持つ上での参考として使うのがよいとおもいます。

まとめ

本記事では、ダイバーシティマネジメントと、そのための基本となる異文化理解の方法として「7dimensions of culture」をご紹介しました。以降の記事では、それぞれ7つの軸ごとにさらなる特徴とコミュニケーションにおけるヒント、そして事例に関してご紹介できればとおもいます。

異文化理解に関して詳しく知りたい方は、以下の書籍などを参考にするとよいと思います。ご参考まで

また、コミュニケーションの基礎となる英語を学びながら、様々な文化、そして戦略立案やマーケティングといったビジネスにおいて必須の知識を学べるオンライン英会話スクールがあるので、よかったら試してみてください。