SPXL:マネーマシンの作り方 個別銘柄編 S&P500連動で、5年で約4倍のパフォーマンス

SPXL:マネーマシンの作り方 個別銘柄編 S&P500連動で、5年で約4倍のパフォーマンス

マネーマシンの中核となるETFの選び方および具体的な銘柄に関して、「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方①」「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方②」の中で述べました。基本はそれらで紹介したETFを組み合わせたポートフォリオである程度リスクを分散しながら、それなりのリターンを得ることができると思います。

本記事では、「ETFってたくさんあるけど、もうちょっと何かできないかな」と思われる方向けに、注目に値する個別銘柄の1つであるSPXLをご紹介します。

SPXLとは

SPXLの概要

SPXLの正式名称は “Direxion Daily S&P 500 Bull 3X Shares”で、S&P500の3倍の値動きをする、レバレッジ3倍(ブル)型の、米国ETFとなります。なかなか馴染みのない用語が含まれますので、以下で説明します。

S&P500指数

みなさんご存じと思いますが、S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している株価指数です。上場している米国企業のうち、時価総額上位500社の平均を示しており、アメリカでもっとも重要な株価指数とされています。

レバレッジ3倍(ブル)型

レバレッジとは梃子を意味し、金融の世界ではデリバティブ取引を用いて実際の投資金額以上の取引を行うことを指します。株価指数のレバレッジ型ETFでは、投資された資金を担保に、指数先物と呼ばれるデリバティブ商品を売買します。レバレッジ3倍型の場合、先物を投資金額の3倍分売買するため、投資のリターンもほぼ3倍になるというわけです。“ブル型”は購入、”ベア型”は売却を意味しており、ブル型は指数が上昇したとき、ベア型は下落したときに利益がでます。SPXLはレバレッジ3倍(ブル)型ですので、S&P500指数先物を、投資金額の3倍購入しているということになります。

コスト

経費率は0.95%とレバレッジ商品らしく、同じS&P500に連動するVOOなどのメジャーなETFと比べると高めですが、それでも日本のレバレッジ型投資信託よりは安価に設定されています。

銘柄 経費率
SPXL 0.95 %
VOO 0.03 %

SPXLが注目される背景

それでは次に、なぜSPXLが注目されるのかに移ります。

S&P500を構成する米国株は、短期的には
・大型追加経済対策および、金融緩和の継続
・ワクチン普及によるコロナ収束と、経済活動の再開
といったことや、長期的には
・アメリカの国家的地位は当面の間は持続の可能性が高い
といったことから、堅調な動きが期待されます。

現に、コロナで急落したS&P500指数も、2021/7現在では当時の約2倍近くにまでなり、今後も上昇が期待されています。そのため、3倍の値動きが期待できるSPXLも大きく期待されています。

SPXLのパフォーマンス

SPXLの魅力はやはりそのパフォーマンスです。実際のパフォーマンスを米国人気ETFと比較してみてみましょう。

5年で370%という驚異のパフォーマンス!

上記は過去5年間(2016年~2021年)のチャートですが、SPXLは+370%です。同期間のS&P500は+約100%ですから、圧倒的なパフォーマンスであることを理解できると思います。

コロナでは株価が一気に5分の1へ。そして底値から株価が一時約6倍上昇!

驚異的なリターンを実現しているSPXLですが、レバレッジ型なので、暴落時には急激に下降するのも特徴です。コロナショックでは、巣篭もり需要が増えたため、テクノロジーが直ぐに持ち直しました。

2021年初来で+約60%! 順調に値上がりしています

2021年に入った以降も順調に右肩上がりで上昇する値動きとなっています。

SPXLのメリット・デメリット

メリット

過去5年間で+343%というパフォーマンスがSPXLのメリットです。このリターンは魅力的です。

以下、過去10年のリターンとリスクをもとに、元本100万円のパフォーマンスが以下の通りです。
 VOO:トータルリターン(年率):14.80、標準偏差:13.59
 SPXL:トータルリターン(年率):32.33、標準偏差:43.04

※https://www.roboadsimulation.qri.jp/myam/simulation を活用

VOOの今後10年後のシミュレーション
SPXLの今後10年後のシミュレーション

10年後に、100万円が平均的な場合はVOOが371万円になる一方、SPXLは996万円(VOO比 2.68倍)、上位10%の場合は、VOOが608万円になる一方、SPXLは3,795万円(VOO比 6.24倍)となります。一方、元本割れとなる可能性はVOOは0.2%、SPXLは1.1%となります。定期預金の金利等を考慮しても、約1%のリスクをテイクしてもいいのかなと思います。

デメリット

SPLXのデメリットおよびリスクとしては、先ほどの期待リターンの前提は、過去10年(コロナがありましたが、基本は上げ相場)を前提として考えており、今後も同じような相場が続くとは言えない点があげられます。

また、もう一つがボラティリティの高さです。2019年からのVOO, SPXLのチャートが以下になります。コロナでの下げ相場では約1か月の間で、1/5になっています。買いのタイミングにより、急落してしまった場合のインパクトはかなりのものになります。

SPXLの買い方

今後の米国経済も堅調な見込みと想定されます。VOOおよびSPXLのチャートを見ますと暴落もありつつ、右肩上がりです。しかしながら、ボラティリティがあまりにも大きいので、買い時によっては、大きな損失を負うリスクもあり、ポートフォリオの中核として運用するにはかなりのリスク許容度が必要になります。

ですので、長期投資においては、コア・サテライト戦略のまずはサテライトとして位置付けつつ、リスク許容度に応じて割合を増やしていくのがよいのでは?と思います。

一方、レバレッジETFなので、短期投資前提で考える場合は、「上げ相場」ではブル型のSPXL、「下げ相場」ではベア型のSPXSに投資するのがよいと思います。とはいっても、その相場の反転を把握するのが難しいので、値下がり・暴落時にSPXLを仕込むことをお勧めします。
※SPXS:Direxion デイリーS&P500ベア3倍 ETF。S&P500インデックスの値動きの反対方向の300%のパフォーマンスに連動した成果を目指すETF

マネーマシンの第一歩を踏み出そう

以上がマネーマシンの作り方およびSPXLの買い方になります。やってみて学べることも多数ありますので、まずは少額でもいいので投資をしてみてはいかがでしょうか?私は、現物取引では「楽天証券」、CFD取引では「IG証券」を使っています。普通であれば「楽天証券」や「SBI証券」等でよいと思いますが、今後を見据えて多様な資産クラスの取引をワンストップ行いたいともう方は、「IG証券」でも口座を開設してみてはいかがでしょうか?

IG証券

※CFDとは「Contract For Difference」の略で、日本語に訳すると「差金決済取引」となります。簡単に言うと、「差額だけをやり取りする」取引のことです。利益が出たら利益分のみ受け取り、損失が出たら損失分のみを支払う形で取引を行うため、現物の売買は発生しません。

まとめ

本記事では、マネーマシンの中核となる「ETF」のバリエーションとしてSPXLをご紹介してきました。
まとめますと、
・通常のS&P500連動ETFよりもハイリスクハイリターンの金融商品
・米国経済は今後も成長が期待されるため、S&P500に連動するSPXLも値上がりが期待される
・一方で、「下落トレンド継続で損失は3倍以上になる」「レンジ相場ではリターンが逓減」というデメリットも
・個人的には、長期投資では、コア・サテライト戦略のサテライトとして始めたのち、徐々にコアへと昇格させる。短期投資であれば、値下がり・暴落時に仕込むことをお勧め

その他、いろいろなバリエーションも組めますので、是非ご自身の特性に合わせて商品を選んでみてはいかがでしょうか? 迷う方は、 「マネーマシンの作り方(基本編)」「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方①」「マネーマシンとはの作り方 ETFの選び方②」 などをぜひ見てみてください。

また、参考となる本を紹介しますので、ご興味あるかたはご覧になってください。