5大支出は約1.5億、生涯支出の2/3
経済的自由に向けた家計見直しの秘訣

5大支出は約1.5億、生涯支出の2/3<br>経済的自由に向けた家計見直しの秘訣

資産形成においては「お金に働いてもらう」ことが必要であり、その効果を高めるためには「貯蓄率を高める必要ある」と述べました(「お金の方程式」と「お金に働いてもらう」とは)。当然のことですが、貯蓄するためには「収入を増やす」か「支出を減らす」の2択しかありません。

「収入を増やす」ことに関しては、年収はほぼ「業界」×「業種」よにって決まることと(サラリーマンの年収はポジショニング(業界×職種)で8割決まる「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」)、年収アップのためのキャリアアップの秘訣に関してご紹介しました(最速の年収アップ術 転職のパターンと成功するキャリアアップの秘訣)。

以降の記事では、「収入を増やす」ことと同等またはそれ以上に重要な「支出を減らす」ための考え方や具体的な方法に関してご紹介します。この記事を読むことによって、何が私たちの支出の多くを支配しているのか、支出を効果的・効率的に削減するための秘訣を理解することができます

3大支出で合計約8千万円で総支出の37%を占め、5大支出は約1.5億、生涯支出の2/3を占める

3大支出と5大支出とは

人生における特に大きな支出として「教育費用」「住宅費用」「老後費用」があり、世間一般にこれらは「人生の3大支出」といわれています。多くの人が必要になる支出である一方、どれも一朝一夕で貯めるのが難しい支出です。また、上記に加えて「車関連費用」「保険費用」を加えたものが「人生の5大支出」となります。
実際どのくらいの金額がかかるかは、その人がどんな人生を送りたいかによって変わりますが、ここでは一般的なケースを挙げ、必要な金額について解説します。

教育関連費 1人当たり 約1,100万円~

「教育関連費」とは子供の教育に関する費用のことです。大部分を占めるのが、授業料や教材費、通学費などの進学にかかる費用で、これに加えて、学習塾や習いごとなど学校外の活動、下宿費等のお金もかかります。

文部科学省の調査*によると、一般的な進路(幼稚園は私立、小・中・高校は国公立、大学は私立文系)での必要総支出は、子ども1人あたりに必要な支出総額は、で約1,100万円にも上ります。仮に、中学から私立を目指す、大学は私立理系・私立医歯系を目指す、自宅からではなく下宿するなど、進路によって必要な総額は大きく変動するため、各家庭の教育方針や世帯年収を考慮して、子供が小さいうちから検討することが必要です。

出典:文部科学省|子供の学習費調査(平成30年度)~(2)学校種別の公私比較

住居関連費 約4,000万円

「住居関連費用」とは、私たちが暮らす住居に関連する費用のことです。戸建てまたはマンションの購入費用に加えて、修繕費や維持費などメンテナンスにかかる費用なども必要になります。

住宅金融支援機構の調査*によると、住宅の平均購入価格は建売住宅で平均3,442万円、マンションで平均4,437万円です。これに加え、メンテナンスにかかる費用が生涯で数百万円必要になります。これらは全国平均ですので、地価の高い首都圏ですと、平均で5,000万円を超えるとのデータもあります。

出典:住宅金融支援機構|2018年度フラット35利用者調査~2018年度集計表

老後生活関連費  約2,000万円

「老後関連費」とは60歳以降の生活費のことです。

総務省の調査*によると、高齢無職世帯の月々の支出は約26万円なのに対し、厚生年金を始めとする社会保障給付などの収入は約22万円。すなわち、1カ月に約4万円不足する計算になります。85歳までの25年間に不足する金額の合計は約1,200万円になり、これに医療費や介護費用を加えると老後の生活に必要な資金の総額は、一世帯につき約2,000万円と考えられます(いわゆる老後2000万円問題ですね)。試算上、私たちは85歳までの寿命となっていますが、人生100年時代の到来を考え、仮に100歳まで生きるとすると約3200万円必要となり、長生きすることがリスクとなる時代となっています。

出典:総務省|家計調査報告(家計収支編) 2018年(平成30年)平均結果の概要~高齢夫婦無職世帯の家計収支

車関連費 約3850万円

「車関連費用」とは、私たちが所有する自家用車に関連する費用のことです。車の購入費用に加えて、メンテナンス費や保険料、駐車場代も必要になります。

総務省の調査によると、自家用車にかかる費用は1,100万円以上であり、生涯支払う保険料は約800~1,500万円*にも上ると言われています。また、そのほかに維持管理費(ガソリン代、車検代、駐車場代など)で年間約60万円、生涯で約2,400万円が必要となり、合計すると約3,500~4,200万円とかなり高額です。

首都圏では、利用頻度が低くなる傾向があり、駐車場代も高額となるため、車を持つことが必ずしもコスパがいい選択肢とは言えません。近年、カーシェアリングなどの代替手段も増えているため、利用目的や利用頻度、その他公共交通機関の利便性も考慮し、購入判断すべきです。

保険関連費 2630万円

「保険関連費用」とは、私たちが加入する保険に関連する費用のことです。生命保険、医療保険、就業不能保険、学資保険など、多様な保険があります。

生命保険文化センター*によると、1世帯あたりの保険料は年間平均52.6万円。20歳から70歳まで加入すると計算すると2630万円となります。私たちのライフプラン・ライフステージによって必要なものが変わってきますので、定期的に見直し、保障内容に過不足がないかを確認することが必要です。また、日本人は無類の保険好きと言われておいるとおり、数多くの保険に入っています。未来のリスクに対する備えも大事ですが、今を豊かに過ごすことも重要です。未来のために今を犠牲にすることはないのです。
参照:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」「生活保障に関する調査」

5大支出は約1.5億、生涯支出の2/3

5大支出に関して一般的なケースを挙げ、必要な金額を解説してきました。それぞれかなりの金額になりますが、私たちの生涯支出総額のうち、いったいどれぐらいを占めているのでしょうか?
総務省の調査*によると、私たちの生涯支出は2.2億といわれています。これらのデータから、夫婦2名+子供2名の家庭で考えた場合、3大支出で合計約8,200万円で総支出の37%、5大支出でなんと約1.5億となり、67%を占めることになります。

戦略的な支出最適化が必須

いわゆる5大支出が生涯支出の2/3を占める中、当然ですが、私たちは効果の高いものから最適化していくことが賢明な選択です。ここであえて「最適化」としているのは、かならずしも「削減」すれば良いということではないからです。たとえば、親の経済的自由を達成するために、子供の将来を犠牲にして教育費を削るというのは明らかにおかしいでしょう(個人の価値観によりますが)。以降では、経済的自由に向けた家計の見直しの秘訣について考えていきましょう。

経済的自由に向けた家計見直しの秘訣

まずはライフプランをたて、必要なお金を把握する

5大支出の必要額はライフプランによって大きく決まります。ですので、まずはライフプランを作り、必要額を把握しましょう。

ライフプランを立てる

まず初めに「どのような人生を送りたいか」というライフプランを具体化します。子供は何人欲しいのか、家は賃貸か購入か、仕事は何歳でリタイアし、老後はどのように過ごしたいかなどを具体化しましょう。

必要なお金を把握する

次に、ライフプランを実現させるために必要なお金を把握します。今時点、どのタイミングでどのくらいのお金が必要か決まっていないものがあるかもしれませんが、その場合は今回ご紹介した情報を活用したり、各種機関からの情報を使うのがよいでしょう。

家計の見直しおよび資金の準備方法を検討する

ライフプランをたて、将来の収入と支出をシミュレーションしてみると、老後において資金不足になる場合もあると思います。回避するために、現在の家計の収入と支出に改善できるポイントを検討しましょう。

家計の見直し、支出最適化

家計の見直しは効果的・効率的に実施することが重要です。すべてにおいてミリミリと支出削減をおこなうと、みじめな気持ちになりますし、何のために生きているのかわからなくなります。以降では、最小の労力で最大の効果をだすための考え方をご紹介します。

支出を把握する

当然ながら、支出を削減・最適化するためには、まず初めに支出を把握することが必要です。旧来通り、家計簿等をつける方法もありますが、今は便利なアプリがありますので積極的に活用しましょう。たとえばMoenyFowardなどです

優先すべき領域はどこか

把握した支出の最適化を行うにあたり、すべての項目を対象とすると多大な労力が必要となります。効果的・効率的に進めるためにも、効果が高い領域(≒5大支出)、効果が持続する領域(≒固定費)を優先的に対応すべきです。具体的には以下の順序がよいでしょう。
①5大支出、②5大支出の「固定費」、③5大支出の「変動費」

世の中と比べ、前月/前年と比較するし目標を決める

現在の支出額が適切か否かを評価するためにはどのようにすべきでしょうか?
まず1つ目として、家計調査年報など世の中の情報と比較評価する方法があります。これによって、多い/少ないを判断し、世の中の平均よりも多いものは対策を打つべきです。
2つ目として、前年同月および前月との比較を行い、推移をみるのがよでしょう。推移を見て、明確な理由がないにも関わらず増加傾向にあるのであれば要注意です。

上記で支出を把握し、優先度を決め、目標を決めた後、見直しを進めていきましょう。

まとめ

本記事では、支出を減らす方法をご紹介しました。箇条書きでまとめると以下となります。

・人生における特に大きな支出として「教育費用」「住宅費用」「老後費用」があり「人生の3大支出」といわれている。上記に加えて「車関連費用」「保険費用」を加えたものが「人生の5大支出」となります。

・3大支出で合計約8,200万円で総支出の37%、5大支出は約1.5億となり、67%を占める。

・家計の見直しにおいては、①5大支出⇒②5大支出の「固定費」⇒③5大支出の「変動費」の順によって

以降の記事では、各支出の項目ごとに見直し・最適化に向けた方法をご紹介していきます。